第4章 白い道【2】
「あぁー疲れた。」
「うはぁ〜部屋あったけぇ〜!」
帰ってきたか。
俺はいつもと変わらずうるさいクルー達を一瞥して、キッチンへと入り、夕食の準備をするであろうカラを盗み見た。
『…』
?
どうもおかしい。
見たところ雪遊びは楽しんでいたが、、、なぜそんな浮かない顔をしている?
俺は水を取りに行くフリをして横を通った。
あぁ、そういうことか。
カラの手は赤く腫れてしまっていた。
霜焼けだ。
「オイ、その手、、」
『あぁ、ロー!これ?大丈夫よ。多分何かに刺されたのね。
少し痛いだけだから、放っておけば治るわ。』
コイツはバカか?
雪の降るような極寒の海の上に虫なんかいるわけないだろ。
それに、本気で医者である俺の目を盗めるとでも思っているのか?
「バカ言え。それは霜焼けだ。何故言わない。」
『…だって、ベポ達はこんなのなってなかったし、私がおかしいのかなって、、、
それに、さっき滑った時も迷惑かけたのにこれ以上は、、、』
「安心しろ。どちらかといえばアイツらの方ががおかしい。
それと、迷惑だとか、んな面倒なことは考えるな。今、患者であるお前の体調は俺の管理下にある。
何か異常が有れば些細なことでも報告しろ。絶対だ。」
『…わかった。』
「なら薬塗ってやるから部屋いくぞ。」
俺は有無を言わさずにカラの腕を掴んで部屋に連れて行った。
…にしても、ベポ達のやつ、カラに手袋をさせなかったのか?
ベポはまぁ、熊だが、シャチとペンギンは人だ。
雪に触れて冷たいだとか、そんな頭はなかったのか?俺は手袋も買い与えていた筈だが…。
俺はカラを椅子に座らせ、薬を取る。
カラは大人しく薬を塗られる手を眺めていた。
『ねぇ、ロー。』
「なんだ。」
『シャチ達はどうして平気なの?もしかして拍鉛が関係ある?』
「いや、さっきも言ったが、雪に素肌であれ程長時間触れ続けたら誰がこうなってもおかしくはない。
霜焼け、とまでは行かずとも、普通なら多少は痛がったりする筈だ。明らかにアイツらがおかしい。お前は至って正常だ。拍鉛は関係ない。」