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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第4章 白い道【2】


コンコンーガチャ


「キャープテーン、雪、いい感じに積もったよ〜!」

「はぁ…だから、ノックをして返事をする前開けたら意味がないとあれほど、、、まぁいい。
カラ、俺はこれを片付けて行くから先に行け。」

『?わかった。』

「じゃあベポ、頼んだぞ。」

「アイアイ!」




パタン




誰もいなくなった部屋で一人考える。
初めて見る雪に心奪われていたカラ、降り積もった雪を見たらきっと先ほど以上に驚くだろう。
ベポ初め、ペンギン達なら言われなくとも雪遊びを始めるだろうし、雪の面白さは十分わかるはずだ。

あの時の言葉を取り下げるつもりはないが、はじめての体験、というのは確実に記憶に残るものだ。
美しい雪の記憶が自分のせいで嫌な記憶にするのは後味が悪い。




…雪の結晶を見せた時のカラの表情。
それに今は亡き妹の笑顔を見た。
酷く眩しく、直視できないほどだった。

ラミは確か俺の5つ年下だったはずだ。
今俺が21でカラが16、と言っていた、、、
…ラミが生きていたら丁度今のカラと同じ年、か。
ラミが生きていたら、俺がはじめての景色を見せてやれたら、ラミもカラのようにはしゃいだだろうか。あの笑顔をもう一度向けてくれただろうか。
【お兄さま!】
祭りに行こうと言っていた時のような、あんな無邪気な笑顔を、、、






































【お兄さま…痛いよ…】

「っ!」








ーガチャン!

手に持っていたシャーレが床に落ちて割れた。


いや、違うな。
例え、例えラミが生きていたとしても、あの笑顔を俺に向けてくれることはきっと無い。
俺はもうあの時の俺とは違うんだ。
復讐に身を焦がし、何人もの人を殺め、医者らしからぬ行動の数々、、、更には海賊だ。
血に濡れた俺に沢山の人を救ってきた父や母、そして、その背を見て育ったラミが笑いかけてくれることはきっとない。

嗚呼、だからか、だからカラの笑顔も眩しかったのか。



俺は自分の女々しい妄想を嘲ながら、シャーレの残骸を拾い集め、顕微鏡をいつもの棚にしまい、コートを手に取って部屋を出た。

まるで彼等から逃げ出すように。
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