第4章 白い道【2】
『はっ!ごめん、ロー。また夢中になっちゃった。』
私は慌てて椅子から立ち上がり、ローの方を向いた。
『っ!』
怒っているかもしれない、そう思って恐る恐る見た表情は、想像とは正反対で、とても優しく微笑んでいるように見えた。
「さっきは悪かったな。少し言いすぎた。」
『いえ、あれは完全に私が悪かったから。』
「…次からは注意だけは聞け。」
『はい。』
ローはその返答に満足したのか、すっかり雪が溶けたシャーレと顕微鏡を片付け始めた。
「…だが、好奇心が強いのは良いことだ。雪に限らず、知りたいことが有ればなんでも聞け。わかる範囲でなら教えてやれる。
俺達もお前には色々と教わっているからな。」
『いいの?』
「あぁ。」
『ふふ、嬉しい。ありがとう、ロー。』
「あぁ。」
ローはそれだけ言って、シャーレの方へ顔を向けた。