第4章 白い道【2】
ビュウッ
『っ!』
ドアを開けると同時に刺すような冷たい風が吹き付ける。
咄嗟に目を瞑り、ベポのふさふさした手をキュッと握った。
「ほら、カラ見て?これが雪だよ。」
『!』
そこには、はらはら風に舞うように降る白くて小さな塊。
私は無意識にそれに向けて手を伸ばした。
『つ、冷たい!』
「まぁ、そりゃ雪だからな。」
『ベポ!凄い!冷たいよ!』
「う、うん。」
『凄い!本当にあった!綺麗!!』
「あぁ!待って走ったらあぶな、、「何を騒いでる。」
「あ、キャプテン。いや、それがですね、、」
私は雪の薄く積もる看板に駆け出した。
積もった雪は私が踏むとシャリッと心地良い音を立てる。
肌に触れた雪がゆっくり溶けて肌を冷やす感覚も新鮮で良い。
私は周りの音も聞こえなくなるくらい雪に魅せられていた。
しんしんと降る雪のスピードはとてもゆっくりで、まるでここだけ時間の感覚がズレていて、違う世界にいるようだった。
私はデッキの柵に足をかけ、夢中で雪に向けて手を伸ばした。
「っ!あのバカ!」
「カラ危ないよ!!」
ある雪に当たりを付けて手を伸ばす。
と、風が吹き、雪は船の方へ煽られる。
私も追うようにして後ろに倒れ込み、後ろ向きに飛び、一回転して着地した。
が、
『っ、きゃっ!』
いつものように着地しようとしたが、滑ってしまった。
これも雪のせいなのだろうか。
私は来る衝撃に備えて受け身を取る。
ドサッ
『あ、、ロー。』
「テメェ、ふざけてんのか。」
ローが受け止めてくれたみたい。
でも、怒ってる。
「滑るから足元に気を付けろ、と言われなかったか。」
『え、あ、、、そういえば。』
ベポに言われた気がする。
「ハァ。いいか、お前は自分が思っているより無知なんだ。
人の注意には耳を傾けろ。」
『…ごめんなさい。』
雪を初めてみたとは言え、はしゃぎすぎた。
ベポ達にも心配かけてしまったみたい。
「雪の降っているときには間違えても柵に上がるな。
今回は落ちなかったからいいが、これだけ冷たい海に落ちたら洒落にならない。
その上、ここはグランドラインだぞ。ここで落ちたら命はないと思え。」
『…はい。本当に、心配かけてごめんなさい。』