第4章 白い道【2】
微かに、カラの肩が揺れる。
「だが、俺達が何度もお前に救われているのも事実だ。
例えそれがお前自身の為だったとしても、な。」
今回は大事に至らなかっただけ。偶々だ。
そう言われればそうだ。
それに、、
「それに、何よりもだ。クルーの命を預かる船長として、俺の知識が欠けていたことが一番の原因だ。
俺が知識を持ってさえいれば、そもそもお前の知識に頼ることもなく航海を進められた。」
カラは自分だけが過ちを犯したと思っているようだが、元を正せば俺が悪い。
俺はカラの謝罪を通してそれに気づかされた。
「よって俺にお前を責める権利はない。」
俺はカラに頭を上げさせ、漆黒の瞳を真っ直ぐに見つめて語りかけた。
『…ロー、、、私は、』
「うるせぇ、もう黙れ。
…確かに自分の知識だけを信じ、それを疑うことなく俺達に告げたのは傲慢と言われれば確かにそうだ。
だがな、」
俺は澄んだ瞳から目を逸らすことなく続ける。
「この世の全てを知っている人間なんざ海賊王を除いていないんだ。
何の為に世界中の海賊達が海に出ていると思っている。
そんなもの、俺たちと旅をして知っていけばいいだろう。
雪も、麻雀だって酒だってそうだ。これから学べば良い。
だから、もう謝るな。」
『ロー…ありがとう。』
俺がそう言うと、カラは一瞬目を見張った後、はにかむように笑ってそう言った。
「あぁ。」
それからカラは本を嬉しそうに抱えて部屋から出て行った