第4章 白い道【2】
『あの時が北の海は初めてだったし、この船と出会ったのは北の海に入ってすぐのことだったからあんまり滞在はしてないわ。』
あんまりみんなが驚くものだから、だんだん恥ずかしくなってきた。
私は助けを求めるようにベポの方を見た。
「…僕なんか、雪の中で育ったのに、、、」
ベポも知ってるのか。
…いや、待って。
そもそも、私はなんという勘違いをしていたのだろう。
おじさまと"暇つぶし"に出かけたのもせいぜい数十回。
行ったことがある島の数だってたかが知れてる。
それなのに、まるで私が見たものが全てで、私はグランドラインの全てを知っているかのように知識を振りかざしてきた。
グランドラインには常識なんて通用しないのが当たり前なのに。
…なんて傲慢なことを、、、
私は本当に本当に恥ずかしくて、以前真っ向から否定したローに申し訳なくて、手についていたスポンジを握りしめた。
『…みんなごめんなさい。私、「じゃあ今日はきっと驚くだろうな!」
シャチが弾けるような笑顔で私にそう言う。
「はじめての雪だもんな!」
「積もったらさ、一緒に雪だるま作ろう!」
ペンギンやベポも、笑顔で私にそう話しかける。
『…あの、でも、私、今まで自分が見たものだけが全てで、みんなに勝手にそれを押しつけて、、、
今まで沢山無責任なことを言ってきたのかもしれない、、
本当に、ごめんなさい。』
私は顔を上げるのが怖くて、泡にまみれた皿をずっと見つめていた。
「はぁ〜?そんなの別に気にすることねぇだろ?
見たものが全てなんてグランドラインじゃ当たり前だろ。」
『でも、』
「俺だってグランドラインの嵐があんなにもヤベェって北の海にいた時に聞いても信じなかったし。」
「それに、僕たちはカラの知識にいつも救われてきたよ?
カラが居なかったら、ログポースも無しにグランドラインに入っていたし、覇気なんて言うものも知らなかった。」
ベポはそう言いながら私に近づいてきた。
「だから、カラが謝る必要は無いし、これからもカラの目で見たものを信じたらいいんだよ。
僕たちと一緒に色んなものを見て、一緒にびっくりしよう?」
3人の言葉はスッと私の胸に入ってきて、私の視野が凄く広がったような気がした。