【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第4章 序の口
ボウヤの先を見通す力には
しばしば驚かされる。
彼は一体…いや、ある程度の検討はついている。
それから俺たちは“例の件”についての
計画を詰めていった。
(ボウヤには勝ち筋が見えているというわけか…)
*
*
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「…おっと、長話が過ぎたようだ。
ボウヤ、家まで送っていこうか」
気が付くと午後10時を回っている。
「うわっ!本当だ!大丈夫だよ。ありがとう」
玄関まで見送り、ドアを開けてやる。
「そーいえば赤井さん、」
「ん?」
ボウヤがなんだか気に食わないという目で
俺を見てくる。
「そよ香、そよ香って
いつからそんなにそよ香さんと仲良くなったの?
さっきのケーキも裏ルートで用意してもらってたくせに…
お気に入りなんだね。そよ香さんのこと…」
「まぁ…一緒に暮らすならある程度お互いに
好意がないとな。さぁ、子どもは帰った。
“蘭姉ちゃん”が心配しているぞ」
「…わーってるよ!」