【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第4章 序の口
コナンと二人きりの時は
沖矢昴はやめ、赤井秀一に戻る。
やはり“こちら”のほうが頭もさえる気がする。
赤井はキッチンの換気扇を回し、タバコに火をつけた。
「…すまんな、子どもの前で」
「いいよ、別に。それより本当なの?
そよ香さんがマデイラって話…」
溜息と同時に煙を吐く。
「あぁ…だが、そよ香がなぜ奴らに追われているのか
外にいる俺では調べるのに限界がある。
バーボンなら簡単だろうが…
あとはそよ香の口を割らせるほかないな」
「何か策があるの?」
「あるにはあるが…危険な賭けだ。
バーボン次第だと言っても良い」
「バーボン?そよ香さんじゃなくて?」
「……」
赤井は2本目のタバコに火をつけた。
上がる煙は換気扇に吸い込まれていく。
「このトラップはまだ詰めが甘い…
ボウヤ、先に“例の件”の話をしよう」
「(…トラップ?)あぁ、うん…」