【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第4章 序の口
『用事があるので出かけます。
17時過ぎには戻る予定です。
軽食をキッチンに用意してありますのでどうぞ。
留守番よろしくお願いします』
「…お母さんみたい」
キッチンへ行くと
カウンターテーブルに不格好なおにぎりと
数種類のお漬物が置いてあるお盆を見つけた。
コンロの上には片手鍋があり、蓋を開けると
お味噌汁が用意されている。
「…変な形」
丸とも、三角とも言えない歪な形のそれは
そよ香が今まで食べたおにぎりの中で
一番美味しいものだった。
*
*
*
___ガチャッ、
「そよ香さん、帰りましたよ」
沖矢の声がして玄関へ向かうと
小さな客人と一緒だった。
「こんにちは、そよ香さん」
顔のサイズに似合わない大きな眼鏡。
赤い蝶ネクタイが印象的な…
「コ…コナン君?」
沖矢とコナンの接点がまるで見つからない。
いくら考えてみても
そよ香の頭の中は疑問符が浮かぶばかりだ。