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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第4章 序の口




優しい笑顔の下で、悪魔の甘言を囁く者を

そよ香は嫌というほど見てきた。

今、目の前にいる沖矢昴という人間が

天使なのか悪魔なのか

そよ香は判断できないでいた。


ちょうど人肌にぬるまったミルクティーを

ごくごくと飲み干すと立ち上がる。



「…シャワーお借りします」



沖矢の顔を見ることもなく

バスルームへ向かった。


扉を開けると、白い大理石の床が目に入る。

その白さとは裏腹に、そよ香の心の闇は黒く染まる一方だ。


身体の傷と共に不愉快極まりない記憶が増え、

自分の罪業が深くなる、そんな気がした。















シャワーを終えて脱衣所に出ると

御影石の広い洗面台の上に

バスタオルと、綺麗に畳まれたそよ香の服、

火傷用の軟膏に新しい絆創膏が置いてあった。



(…気がつかなかった)



沖矢の優しさや細かな気遣いに

嬉しくもあり、苦しくもある。



(明日家に帰ろう)



身なりを整え、リビングに戻ると

沖矢から書き置きがあった。


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