• テキストサイズ

【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第4章 序の口




「そよ香さん、立てますか?」


彼女の前に手を差し出すと、

自然に手を重ね立ち上がる。

抱き上げようとそよ香の肩に腕を回すと

「結構です」と一蹴されてしまった。


反抗する元気はあるのだと

沖矢は少し安心した。




「ココアかホットミルクでも淹れましょうか」


リビングのソファでテレビをただ眺めているだけの

そよ香に声をかける。



「…また眠くなっちゃうかも」


「では、紅茶はいかがでしょう?

最近気に入ったものがありまして」


「紅茶、好きです」



そよ香の表情がパッと明るくなる。

目が合ったので、しばらく見つめていると

頬を少し赤くしてうつむいたのは

そよ香の方だった。



「可愛らしいですね」


「な…!?」



そよ香が顔を上げた時には

もう沖矢の姿はなかった。


リモコンでチャンネルを回してみるが

昼時は主婦向けの情報番組しかやっておらず

どこも同じような内容で、つまらない。



/ 272ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp