【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第4章 序の口
(どこに座ったら…)
いかにもお金持ちというような家に
踏み入ったことのないそよ香は
戸惑ってしまう。
「おっと…そよ香さん、
そのブランケットがあるところへどうぞ」
後ろから食事の乗ったお盆を持つ沖矢が
声をかけた。
「あ…はい」
4人掛けのソファに腰を掛けると
ゆっくりと沈んでいく。
沖矢はそよ香の向かいに座った。
「革は冷えますので、
そちらを使ってくださいね」
素直にブランケットを膝にかける。
ふわふわとした触り心地が
くすぐったい。
年季の入ったローテーブルに
お皿が並べられていく。
厚切りトーストにたっぷりのバター
トマトサラダと目玉焼き
ヨーグルトに牛乳
何でもない朝食のメニューだが、
鮮やかなブルーが目を引く
ロイヤルコペンハーゲンの皿によって
まるで一流ホテルで
モーニングを味わっているかのようだった。