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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第4章 序の口





「そよ香さん、入社してから

1度も有休を使われていなかったようなので」



冠婚葬祭の休暇でさえしぶるあの所長が…?

そよ香は俄かには信じがたいというような目で

沖矢を見つめた。



「二つ返事でOKを頂きましたよ。

良い所長さんだ…」



クスクスといたずらっぽく笑ってはいるが

沖矢の目は笑っていない。



「体調はいかがですか?

朝食の準備ができましたので、

リビングでお待ちください」



少しだけ開いているドアを指さして

そよ香を促す。



「私…むぐっ」


話し出そうとしたが、

うさぎの形に切られたリンゴで

口を塞がれた。



「腹が減っては何とやらと言いますし、

お話は朝食の後にしましょう」



(…デジャヴ)



しゃくしゃくとリンゴをかじりながら

リビングへと入る。


壁面には高そうな西洋アンティークの陶磁器や

いくつものトロフィーが飾られており、

真ん中に堂々と鎮座しているのは

傷一つない革張りのソファと

似た雰囲気のローテーブルだ。


床に敷かれている絨毯でさえ、

艶めいて見える。



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