【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第1章 点と点
「ちょっと待てよ…」
スマホをケースから外し、背面を見てみる。
《取得日:2017年4月/管理No,360》
と、書かれたラベルが貼ってあった。
「もう4年もたってるんだ…寿命かな。
明日総務の人に相談してみよう」
「お待たせしました。
ホットミルクティーです」
そよ香の前にさくらんぼの柄が可愛い
ティーカップが置かれた。
ふわっと紅茶の香りがただよってくる。
「…おっと、失礼。
そよ香さんはレフティ、でしたよね」
そう言うと安室はティーカップの取っ手が
そよ香の左手側に来るよう向きを変える。
こういったさりげない気遣いができるのが
安室という男だ。
「ありがとうございます。
ま、お茶飲むくらいならどっちでも良いですけどね」
スティックシュガーを2本、ティースプーンで
くるくると溶かす。
「ところで、さっきの話ですけど…」
「あぁ、最後に一つ確認ですが、
毛利先生の事務所の窓、少し空いていませんでしたか?」
「そういえば、一ヶ所細く空いてたような…」
「推理というほどではありませんが、
僕の考えはこうです」