【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第2章 嘘つき
「うるせーんだよ」
田中が吸いかけのタバコをそよ香に向ける。
何をされるのか考えているその一瞬のうちに
鎖骨に押し付けられた。
「あぁぁっ……!!!」
声にならない声が空き地に響く。
少年たちは笑ってこの状況を楽しんでいるようだった。
熱さ、痛み、タバコの匂い、皮膚の焼ける匂い
そよ香を恐怖の底に沈めるには十分すぎた。
「これで口塞いどけ」
どこから取り出したのか
ガムテープを少年に投げる。
「それ貼ったら口に突っ込めないじゃないっすか」
一人が思ったことを口にする。
「…文句あんのか?」
田中が低く唸るような声を出すと
バツが悪そうに少年は黙った。
「俺は顔見知りには勃たねーから。
お前らで回せよ」
「あざーす」
上っ面だけのお礼の言葉を田中に投げると、
馬乗りになっていた少年は
そよ香の足元に行くとスカートの中に手を入れ
強引にショーツを剥ぎ取った。
「んー!!んん!!!」
口にガムテープを貼られ、
自由に言葉を発することも奪われた。
「静かにしろって言ったろ?」