【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第2章 嘘つき
「何するの…!!田中せんぱ…」
助けを求めて田中の方を見ると
空き地の入り口でタバコをふかしている。
放り出されたそよ香のビジネスバッグから
財布を取り出し、札入れを漁る。
「チッ…全然金持ってねーじゃん。
お前らちゃんと写真撮っとけよ」
少年たちは田中の指示に従い
スマホを取りだしそよ香の方に向ける、
馬乗りになっていた少年がそよ香の着ている
カットソー、キャミソール、ブラジャーを
一気に首元まで捲り上げた。
「…っ!!」
今やっと理解した。
これから自分が何をされるかということを。
羞恥心に耐えかね、それをかき消すように声を出す。
「やめてっ!!やめて!!誰か__!!」
大声を出したつもりだったが
腹を押さえつけられているせいで
力が入らず大して声も出ていない。
スマホのフラッシュライトが光る。
「俺写真にするから、お前動画にしろよ」
「そうだな」
逃げようと必死に体をよじらせ、声を出し続けるが
頭痛と悪寒が追い討ちをかけ
そよ香の体力をどんどん奪っていく。