【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第2章 嘘つき
梓とは歳が一つ違うだけで
同性ということもありすぐに打ち解け仲良くなった。
彼女の明るい性格と、
可愛らしい笑顔を目当てに来る客も少なくない。
「もう朝から安室さん目当てのJKたちばっかでさー
今日はお休みですって言うと帰っちゃうし!
ジュースでも飲んでけーっての!」
冗談まじりに話す梓だが、うんざりした表情を見せた。
「あはは!たしかに〜じゃ私先に出るね」
カバンの中身を入れ替えるのが面倒で
今日はビジネスバッグのままきてしまった。
ロッカーに詰め込んでエプロンをつけ、
厨房に入る。
「よろしくお願いしまーす」
(大丈夫、いつも通り)
そう自分に言い聞かせて、
シンクに溜まった皿洗いから始めた。