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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第2章 嘘つき





悪い夢なら覚めてほしい。

そう思い、そよ香はシャワーの設定温度を上げる。

頭にかかった湯は右肩の銃創に流れていく。

左手で傷痕に触れると、

あの時の記憶が蘇りそうになった。



「……っ」



どうして私は生まれてきてしまったの…?



シャワーの水が冷たい床を叩きつける音に紛れて

そよ香は涙を流した。


















__カラン、


「お疲れ様です」

「そよ香ちゃん悪いね、今日はよろしく」



モーニングのピークを終え、

マスターはランチの仕込みをしていた。

更衣室兼休憩室に向かうと

バイト仲間の梓が早めの昼食を取っている最中だ。



「そよ香ちゃん今日ありがとね!

安室さんの代わりに入ってもらって」


「ううん、どうせ暇だから。大丈夫!」





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