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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第1章 点と点




「そよ香さん、ちょっと良い?

毛利先生から預かってきてもらった領収書、

帳簿と合ってないみたいなんだけど…」



「えっまたですか?」



「いくつかズレがあるから、

悪いけど、先生の所に行って確認してくれる?

今日はそのまま直帰で良いから」



「分かりました!」



そよ香は澤木税理士事務所と書かれたドアを開け

エレベーターホールに向かいながら

スーツの上着を羽織る。


税理士の卵としてこの事務所で働き始めて

ちょうど2年がたった。

今は実務経験を積みながら、

税理士資格取得のため試験勉強にも励んでいる。



やっと仕事にも慣れてきて

毛利探偵事務所は産休に入る先輩から引き継いだ

取引先だった。



(スマホ、スマホ…)



もう先生のところに向かってしまってはいるが

念のため連絡を入れようとビジネスバッグを漁る。



(あれ?カバンに入れたはずなんだけど…)



財布、キーケース、ハンカチ、ポーチ、手帳…

後は書類がまとめられている分厚いA4のファイル。

一応、スーツのポケットも触ってみる。



「…あった!って、こんなとこに入れたっけ?」



上着の右ポケットに社用スマホはあった。



(右…?)



そよ香は右手で取り出したスマホを左手に持ち替えると

電話帳に登録された毛利探偵事務所に電話をかける。


暖房がかかっていたフロアとは違い、

エレベーターの中は少し空気が冷たい。





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