【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第11章 懺悔
看護師が運んできた昼食を食べ終わると
タイミングよくドアがノックされた。
「やぁ、マデイラ。調子はどう?」
ドアをスライドさせて入ってきた男の手には
花束が握られている。
「もうすぐ退院できるって。…エレーナさんは?」
男は花瓶に水をいれて花を挿すと、
マデイラの視線の先にあるテーブルに置いた。
「彼女は…死んだよ」
マデイラが病院に収容された後、エレーナは薬の研究資料を全て消すために
研究所へ火を放った。
エレーナは自分が犯した罪をその目に焼きつけるように
炎を見つめ続けていた。
「エレーナ、逃げよう。ここは危ない」
「どこへ逃げようって言うの?」
「……!!」
ベルモットがヒールを鳴らして姿を現した。
「大切な研究資料を…全く困った子ね…」
「…ベルモット。最期に女同士で話をしない?」
「おい、エレーナ!何を言ってるんだ!!」
エレーナはオーウェンの制止も聞かず
無理やり研究所の外へ出すと内側から鍵を閉めた。