【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第11章 懺悔
__ピッ、ピッ、ピッ
気が付くと、耳元で規則正しい電子音が聞こえてきた。
少しだけ身体を動かしてみるが、
何か細い線のようなものが繋がっていて思うように動かせない。
右肩もじんじんと痛かった。
うっすら目を開けてみると真っ白い天井に
点滴スタンドが目に入る。
電子音の正体は取り付けられた心電図モニターだった。
首を横に向けると窓越しに誰かと目が合った。
医者だろうか。
エレーナの姿を探してみてもいないかった。
数日経つと酸素ボンベや取り付けられていた電子機器が外され
少しだけ自由になった。
右肩は相変わらず痛い。
入れ替わり立ち代わり、看護師がいろいろとお世話をしに来てくれるものの、
相変わらずエレーナと厚志は姿を見せには来てくれない。
ある日、診察に来た医師に聞いてみた。
「先生、エレーナさん知らない?」
「…今日、エレーナの同僚が君のお見舞いに来る。
その人に聞くと良い。
経過も良好、もうすぐ退院できそうだ」
医師はそう言ってマデイラの頭を撫でると部屋から出ていった。