【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第11章 懺悔
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「……おい!エレーナ!…おい!どうするんだ!
このままじゃNo,11が死ぬぞ!!」
「……死なせ、ない!!」
エレーナが気が付くと、大型車の後部座席に座らされていた。
隣を見ると、仲間がマデイラの右肩を自分の上着で抑えていたが、
元の色が分からないくらい、真っ赤な血で染まっていた。
「あの病院に向かって…あそこには…
この子自身の血液が…保管されているはず…だから…」
エレーナの言う病院へ到着すると、待ち構えていたかのように
白衣を着た男が数名、車に近づいてくる。
マデイラを担架に乗せると素早く病院内へ消えていった。
「大丈夫なのか?あいつら…」
「大丈夫よ、オーウェン。あの人たちは厚志さんの知り合いなの…」
「そういえば厚志はどうした。合流したんじゃなかったのか」
エレーナは返事をする代わりに上を向いて言った。
「…今は私たちのやるべきことをしましょう」
涙に揺れるシトラスグリーンの瞳は、すべてを悟っているかのようだった。