【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第11章 懺悔
エレーナはとっさにマデイラを抱きしめ、
踊り場に戻りドアを閉めた。
弾は錆びて脆くなったドアを貫通し、間一髪2人から少しずれた壁に着弾した。
数秒後、何発もの銃弾が立て続けにドアに穴を開ける。
「マデイラちゃん!もっと奥に隠れて!!」
「エレーナさん!何するの!?」
エレーナは階段から身を乗り出し、先ほど見つけた黒い四角い箱をめがけて数発発砲した。
「きゃぁぁあぁぁ!!!!」
マデイラの悲鳴と共に、ビルが大きく揺れだす。
煙と共にガラガラとコンクリートが崩れていく音が鳴り響いた。
「チッ…爆弾に気づいてやがったか…」
一度崩れ始めたビルは、
いくつもの爆弾を誘爆させていく。
その度に地面が割れるような轟音が聞こえた。
「エレーナさん!!」
ジンからの攻撃が止んだのを見計らって
2人は屋上へ出ていく。
「おい、いい加減にしろよ…」
拳銃を構えてはいるが、不安定な足元のせいで照準が合わないのか撃ってこない。
幸いにも遠距離のスナイパーはいないようだ。
(これなら、行ける……!!)