【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第11章 懺悔
「…くっ!ジン!どこにいる!!」
風が強く吹き荒れ、視界を奪っていた白煙が晴れると
そこに立っていたのは予想した人物とは違っていた。
「ハーイ、マッドサイエンティスト…」
体のラインがはっきりとわかるライダースーツを着こなす
ブロンドヘアの女は妖艶な笑みすら浮かべながら
拳銃を構えている。
「本当に、余計なことをしてくれたわね…」
「余計なこと…?はっ…お前たちの正は世界の悪だ!……ぐあっ!!」
「黙りなさい」
怒りを露わにしたベルモットは、容赦なく引き金を引く。
「残念だわ…あなたのような“従順な”科学者を始末しなきゃならないなんて…」
三発目の銃声が鳴り響くと
ベルモットはイヤホンスピーカーに手を当てた。
「ジン、こっちは完了よ。もう一匹のネズミとNo,11を例の場所まで誘導するわ」
『あぁ、分かった』
ベルモットは厚司の体を触り、上着のポケットからスマホを取り出す。
指紋認証ロックを解除するとエレーナに電話をかけた。
『厚司さん!?無事なの!?』
ベルモットはなんでもないように厚司の声をコピーすると
そのまま話し始めた。
「あぁ…なんとかな…それより奴らの仲間が先回りしている可能性がある…
マデイラを連れて高石ビルの屋上へ行け。そこで合流しよう」
『分かった。気をつけてね』
通話終了ボタンをタップし、そのまま中のデータを確認するが、
めぼしい情報がないとわかると燃え上がる車の中に
スマホを投げ入れた。