【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第11章 懺悔
落ち着きを取り戻すとマデイラが口を開いた。
「エレーナさんたちは?どうするの…?」
そう聞かれ、夫妻は顔を見合わせてから言った。
「…私たちには、まだやるべきことがあるから。
それが終わったら、マデイラちゃんに会いに行くね」
隣で厚司が頷くと、さぁ行こう、と立ち上がる。
準備が終わる頃にはいつの間にか日が昇り始めていて、
夕焼けにもにたその朝日は、どこか不気味な気もしていた。
キッチンにある勝手口の扉から外に出ると、
マデイラの住む屋敷の裏庭は草木で生い茂っていた。
お世辞にも手入れができているとは言い難い有り様だ。
ザクザクと小枝や葉を踏み散らしながら、先へ進む。
エレーナと厚司でマデイラを挟むようにして、一直線に並んでいた。
時折前を歩くエレーナが辺りを見回すが、
耳に届くのは自分たちの足音と小鳥たちの囀り、
風が木々を揺らす音だけ。
「もうすぐよ」
少しほっとしたような声がエレーナの口からこぼれ、
敷地の終わりを告げるフェンスが見えてきた。