【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第11章 懺悔
Tシャツにジーンズ、スニーカー。
今までに着たことのない洋服だった。
この服に袖を通したら、私の運命は変わってしまう…
そんな不思議な感覚がする。
「マデイラ、嫌かもしれないがこれを持って…
君の命を守るものだ」
深夜と夜明けの境目
月の光か、太陽の光かはっきりしない、
ぼやけた視界の中に、重苦しい雰囲気を感じた。
マデイラは厚司から差し出されたそれを手に取ると、
急な重量感に驚いた。
意識をしていないとあっという間に落としてしまいそうだ。
「拳銃だ。本当はもっと軽くて小さいものを…と思ったんだが…
これで我慢してくれ。弾は入れてある」
「厚司さん、私……」
顔を上げてそう言いかけた時
エレーナと厚司は膝をついてマデイラの視線に合わせる。
「君は何も心配しなくていい。必ず僕たちが守る」
「外に出たら“普通の生活”が送れるように、全て手配してあるから…」
そう言うと、3人で抱き合いながらしばらく涙を流した。