【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第11章 懺悔
「今日はどこへ?」
そよ香の一言でバーボンは悟った。
(…チッ、沖矢昴…先回りしているか?
それとも後をつけて来ているか…)
バックミラーやサイドミラーを見ても
気になる車はいない。
「…じきに分かりますよ。まだしばらく走りますので、
そよ香さんに聞いておきたいことが…
宮野エレーナ…という女性、ご存知ですよね」
バーボンはあくまで断定的な言葉を使う。
「…知ってます」
「表向きは研究中の事故死として組織内では片づけられていますが…
どうも腑に落ちない点が多くて。
真相を話して頂けませんか?」
丁寧な口調ではあるが、バーボンの声がだんだんと低くなっていく。
「あぁ、貴女から聞いたとは誰にも言いませんし、
盗聴器の類も”先ほど”壊しましたからご安心を――…」
ふと視線をそよ香に向けると
うつむきながら声を殺して涙を流していた。
「そよ香さん…?」
「私の、せい、なんです……」
弱弱しく、振り絞るようにそう言うと、
そよ香はポツリポツリと話し出した。