【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第11章 懺悔
無言で車に乗り込み、シートベルトをつける。
バーボンは真っ黒なキャップに、やや身体にフィットした黒い長袖、
それに合わせるかのように黒いパンツ姿だ
曇り一つない真っ白な車とは対照的で、
彼は本当にあいつらの仲間なのか…
今更考えてもどうしようもないことが頭に浮かんだ。
「そよ香さん、髪に何か…」
「え?」
前にもこんなこと、あったような…
おもむろにバーボンの顔が近づいてくる。
艶のある金色の髪は、光を跳ね返すようにそよ香の瞳に映った。
眩しくて目を閉じると、微かに香るバーボンの匂いに
つい1週間前の事情を思い出してしまう。
「……ッ」
わずかに震えるそよ香の肩を
バーボンが見逃すはずはない。
「嬉しいですね、そんなに僕を意識してくれているなんて」
「そ、そんなことありません」
頭痛までしてきそうなほど、自分の顔が熱い。
説得力なんてみじんもないことは
そよ香自身が一番よく分かっていた。
バーボンは車を走らせ東名高速道路に乗ると
下り方面へとハンドルを切った。