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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第11章 懺悔





足音が近づいてくるのに、身体は動かない。

ドアノブを掴むそよ香の手に、一回り大きな沖矢の右手が重なる。

左腕はそよ香の腰を後ろから引き寄せると、

あっという間に抱きしめられる形になった。

沖矢の優しげなココアブラウンの髪が少しだけ視界に入る。




「この家にいる限り、君の命は保障しますよ…」




耳元で囁かれると何もかも手放したくなってしまう。

そんな諦めにも似た感情が湧き上がってくるが、

そよ香は振り返らない。


ドクン、ドクン…と、心臓は生きていることを主張するかのように強く波打つ。

この扉の向こうはハッピーエンドか、バッドエンドか。

今はただ、歩を進めるしか道はない。




「離して……」



そよ香がそう言うと、沖矢は素直に身体を遠ざけた。

そのままドアノブをひねり外に出ていくと、

沖矢は扉が閉じる間際に言った。




「どうか、お気をつけて…」















バーボンとの約束の5分前、米花駅のロータリーにつくと

見慣れた白いスポーツカーが停まっている。

近づくと助手席のドアが少し開く。

何度も乗っているはずなのに、今日はやけにドアが重く感じた。


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