【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第11章 懺悔
2日後、日が高く昇る昼時にそよ香のスマホに1通のメッセージが届いた。
『1時間後、米花駅で待つ』
バーボンからだった。
別室で沖矢も自前のノートパソコンから
そよ香のスマホをハッキングして盗み見る。
インターネットカメラでそよ香の部屋を見ると
リボルバーに装填された弾をそよ香は丁寧に確認していた。
(やはりな…)
沖矢は灰皿にタバコを押し付けるとスマホを取り出し
電話をかける。
「…私です。…はい…えぇ、ではその手筈で…」
バーボンとの約束の時間まで30分を切ると
そよ香が動き出した。
自室の扉を少し開けて、廊下の様子を窺う。
誰もいないことを確認すると足音を消して玄関へ向かった。
階段を下りきり、リビングに繋がる廊下へ目をやる。
ここで沖矢に会うと面倒だ…そんなことを考えながら
そのまま一気に玄関ホールを駆け抜け、靴を履いてドアノブに手をかけた。
「そよ香さん、どちらへ?」
「……っ!!」
冷たく言い放たれた言葉に、背筋が凍り付く。