【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第10章 それぞれの陰謀
「ここは安室君にそよ香を託すしかないようだ…
無論、”公安”に彼女を渡すつもりは毛頭ないが」
ボウヤに断りを入れてタバコに火をつけた。
吐き出した煙はモヤモヤと漂っては消える。
「…安室君は、そよ香が死ぬつもりだと言う事に気が付いているんだろうか」
「どういうこと?」
そよ香がリボルバーを所持しているのは知っていた。
込められた弾は一発だけだったが、予備の弾を持っている可能性もある。
「…しかし、そよ香がジンとやりあうなんてことはまずない。
あの一発はそよ香が自分を殺すためのものだ。
まぁ、俺がそんなことはさせんがな…」
「それを聞いて安心したよ…」
安室君、今回は君を信じよう。
そよ香は君にとっても大事な人らしい。
俺は俺のやり方でそよ香を守る…
邪魔はするなよ…
「…そういえば、組織がそよ香さんを追ってる理由分かったの?
前にそよ香さんの口を割らせるって言ってたけど」
「あぁ、ある程度はな。
だが決定的な部分はやはり分からない。
しかし、じきにそよ香は自分から話すだろう。
そのためのエサならもう撒いてある」