【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第10章 それぞれの陰謀
「そよ香の右肩に銃創があった…
撃ったのはジンだろう。奴は今度こそ…」
確実にそよ香の息の根を止めるに違いない。
俺ほどではないが、ジンの射撃の腕前は組織の中でも高い。
目算を誤ったとは考えにくいし、
殺そうと思った相手に情をかけて肩を撃つようなことをする奴ではない。
何らかの突発的な事故が起こって1度はそよ香を殺し損ねている。
「どうやらジンは自分でそよ香の頭に弾丸をぶち込まないと気が済まないらしい…
あとは奴らお得意の爆弾でふっとばしておしまいってところだろう」
「でもなんであんな場所で?」
「こう言えばボウヤにも分かるかな…
あの場所は ”死体が多い” んだよ…」
隣に座る小さなシャーロキアンは顎に手を添えて考えるような素振りをすると、
次の瞬間には瞳を見開いた。
「いや…でもそんなことしたら安室さんが疑われるんじゃ…」
そう、だから彼はあの時こう言ったんだ。
『自らその腕を離すようなことにならないと良いですね…』と。