【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第10章 それぞれの陰謀
「ボウヤ、答え合わせをしよう」
「やっぱり赤井さんも分かってたんだね」
安室君がそよ香に残したメモに書かれた数字、
あれは経度と緯度の座標を示していた。
その二つの座標が交わる場所、それは…
「「青木ヶ原樹海」」
そういうわけだ。
そよ香が自らそこへ向かうことは考えにくい。
途中で逃げ出す可能性も考えると、
安室君が連れていく線が濃厚だ。
彼はそよ香のことを『僕の首輪付き』と言っていたし…
「そよ香さんと安室さんを接触させないようにしないとってことだね」
「…いや、、」
「どうしたの?赤井さん」
ボウヤの言う通り、それが一番手っ取り早く安全な方法だ。
しかし彼がそよ香をあの場所へ連れていく目的…
「…ジンが来るのか?」
「え…?」
安室君がターゲットを直接手にかけることはほとんどない。
それに、マデイラは組織にとって重要な存在のはず…。
キールからは何もマデイラの情報が来ないことを考えると
コードネームを持つ者でもそよ香のことを知っているのはごくわずか。
みすみすそよ香を始末することはないと思うが、
ジンならやりかねない。
疑わしきは罰す、裏切り者には死を…
それが奴のポリシーなのは分かっている。
どういった経緯かは不明だが、
そよ香が組織を抜け出したことは確かだ。