• テキストサイズ

【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第10章 それぞれの陰謀





「俺を待たせるとはいい度胸だな…ベルモット」



黒い帽子を目深にかぶった銀髪の男は

開口一番に言った。



「久しぶりにあなたからデートのお誘いがあったから…

支度に時間がかかったのよ…ジン」



はぁ、とため息をつくとジンはワイングラスに入った

琥珀色の酒を一気に煽った。


2人の会話を隣で聞いていたサングラスの大柄な男が席を立つ。



「じゃぁ…オレはこれで。兄貴、車で待ってます…」


「…いや、今日はもう帰れ。ウォッカ」



その言葉の意味が分かったのか

色気をまとい、バーガンディのルージュが引かれた彼女の唇は熱くなる。




「良いんですかい?」


「二度は言わねぇ…」



帽子の陰から殺意をも思わせるように睨むと

ウォッカは慌てて部屋を出ていった。


入れ替わりにウェイタ―が部屋へ入ってくると

ヴェルモットの前にマティーニを置く。




「お連れ様からです」


「…あら、あなたにこんなことできるのね…」



ジンはその言葉に被せるようにしてタバコに火をつけた。

ウェイターが部屋を出るのを確認すると口を開く。




「…で、No,11はどうなった」


「3日後、バーボンがあの場所に連れてくるわ」


「気に入らねぇな…」



/ 272ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp