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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第9章 渡さない*




運転をしている間、沖矢はそよ香の左手を握ったまま

離そうとはしない。


赤信号になるたびに手の甲にキスをして

隣にそよ香がいることを確かめているようだった。



何故あの家にいたのか、安室と何をしていたのか

沖矢は一切聞いては来なかったが、

もう既に知っているような気もして

そよ香は自分から話すことをやめた。




工藤邸に戻り、沖矢の淹れてくれたホットココアを飲んでいると

湯張りの終了を告げるメロディが流れる。





「そよ香さん、お先にどうぞ。

あがったらまたリビングに来てくれますか?」



「…はい」




そのまま自室に戻ろうとしていたことを

見透かしていたかのように沖矢は言った。















リビングへ戻ると、沖矢がソファーに座り

隣をポンポンと叩く。



「こちらへ」



と言って、そよ香を促した。



安室とのことを何か聞かれるのだろうか。

聞かれたらなんて答えよう…

居心地の悪さを表すかのように

そよ香は沖矢と少し距離を開けてソファに腰掛けた。






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