【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第9章 渡さない*
__ピンポーン、
「…はい」
『こんばんは、沖矢と申します。
こちらに僕の連れがお邪魔していると伺いまして。
迎えに来ました』
チェーンを外さないままドアを開けると
すかさず革靴がねじ込まれてきた。
「おや、あなたは…宅配業者の安室さんではありませんか…
このチェーン、外してもらえますか?」
「何故ここが分かった?」
「風の噂ですよ…
そよ香さん、昴です。いらっしゃいますよね?」
ドアの隙間から奥の部屋に向かって呼びかけると
そよ香が首元を抑えながら
小走りに玄関へ向かってくる。
「チェーンを外せないので、足をどけてもらえますか?」
「これは失礼」
一度ドアを閉め、チェーンを外すと外側から勢いよく開く。
安室はそれを待っていたかのように
タイミングを合わせると
そよ香の肩を引き寄せてキスをした。
「ん…!」
突然目の前に現れた男女のキスシーン。
緋色のスナイパーは素早く左手を懐に入れると
ハンドガンのセーフティを外す。