【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第9章 渡さない*
(なにも、考えられな…)
混ざり合った唾液が、熱くなって喉の奥に落ちる。
「ん…、んぅ…」
飲み込むたびに、
この溶けるような快楽を受け入れてしまっている自分が
怖くなった。
グリグリと安室の膝が敏感な部分に押し付けられると
そよ香の腰が跳ねて唇が離れる。
「あぁっ…!」
2人の間に銀糸の橋がうっすらとかかると
安室はそよ香の唇を舐めた。
「よく効いていますね…」
何かを知っているような口ぶりでそう言うと、
安室は人差し指でそよ香の耳をそっと撫でる。
「んっ」
ピクっと肩を震わせ、手の甲で自分の口を押さえるそよ香は
口をついて出てきてしまう甘ったるい声を
安室に聞かせまいとしているようだった。
「そんなことをしても、無駄ですよ」
耳をなぞった指は首筋を通り、鎖骨へ届く。
声の代わりに、はぁはぁと荒い息遣いが聞こえるが、
それさえも今は色情を感じさせる。