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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第9章 渡さない*




青信号に変わると、安室は一気にトップギアで加速する。

慌てた様子のFBIもお構いなしにアクセルを踏んできた。




(僕の日本で、君が僕に敵うわけないだろう)



助手席にそよ香を乗せている手前、

手荒な運転はできるだけしたくない。

ちょうど帰宅ラッシュの時間帯ということもあり

一般市民を巻き込むようなカーチェイスは言語道断。



安室は右左折を器用に繰り返していくと

人通りの少ない細い道で停まった。




(巻いたようだな…)



後部座席から今度はそよ香のビジネスバッグを持つ。

中からスマートフォンを2台取り出すと

慣れた手つきでアプリを確認した。



(盗聴と追跡アプリ…

こんなものただの大学院生が仕掛けるはずないだろう…)



アプリを削除し、電源を落とすとバッグに戻した。
















地下駐車場に車を停めると、

安室はそよ香を抱き上げて部屋まで運ぶ。


どうせ自宅はFBIが張り込んでいるだろうし、

仕事の合間に仮眠を取るためだけに借りていた

いわゆるセカンドハウスへ来ていた。



リビングには2人掛けのソファとテーブル、

隣の寝室には折り畳みのできる簡易ベッドしかない。


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