【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第9章 渡さない*
そよ香は沖矢の今日の予定を聞くと
家で1日ゴロゴロしているようにと命じた。
「そうは言われましても…買い出しも行かないと…」
「だーめです!今日は私定時で上がるので
買い物してきます!夜ご飯もつくります!
お風呂掃除もします!良いですね?」
「しかし…」
「も~、、
…今日、沖矢さんが朝キッチンにいなくて、
その、ちょっと、寂しかったんです。
だから、また一緒に朝食を食べられるように
今日はゆっくりしていて欲しいんです…
だめ、ですか…?」
そよ香は素直に自分の心を打ち明けた。
恥ずかしい、沖矢にどう思われるだろう、
そんなことを考えていると
沖矢の大きな手が頭を撫でる。
それに気が付いて顔を上げると
頭を撫でていた手が頬にすべり落ちてきた。
「だめなわけ、ないじゃないですか…」
逃げようとしないそよ香の唇にキスをすると
そのまま抱きしめた。
「お、沖矢さん…?」
「…すみません、やっぱり疲れているみたいです。
自分の部屋で休むことにします」
そう言うとそよ香を身体から離し、
今度は頬にキスをする。
そよ香の耳まで真っ赤になった顔を満足そうに見ると
沖矢は書斎を出ていった。