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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第8章 メモリー




「マデイラ、すまなかった。まだ目を開けるな…

ちょっと痛いぞ」


口に貼られたガムテープを一気にはがし、

ひもで縛られた両手足を解放する。

抱き上げると閉じた瞳からぽろぽろ涙をこぼしながら

しがみついてくる。



「兄さん!兄さん!係員さん連れて来たよ!」



ドアを激しく叩く音と共に秀吉の声が聞こえた。

トイレから出る前にもう一度男の腹を蹴り上げる。



「…チッ」



男の醜悪な行為と、マデイラを守りきれなかった悔しさで

怒りの感情を抑えることはできなかった。
















「マデイラちゃん、大丈夫…?」


秀吉が今にも泣きだしそうな顔で聞く。


「見たところ、外傷はなさそうだが…」

秀一に抱かれたまま離れないでいるマデイラからは

途切れ途切れの息遣いだけが聞こえる。

肩のあたりが彼女の涙で濡れる感覚がするが、

今はそんなこと、どうだっていい。

シルクのようになめらかな髪に指を通し、頭を撫でる。




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