【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第8章 メモリー
「マデイラ!どこだ!」
…おかしい。
どこを探してもマデイラの姿はなかった。
胡桃色の髪に、白いワンピース。
見逃すはずがない…
もしかしたらと思い昼食をとっていたテーブルに戻るが
秀吉しかいなかった。
「兄さんどこ行ってたの?マデイラちゃんは?」
「すまん、迷子にさせてしまったようだ…
秀吉、案内所に行って迷子のアナウンスをしてもらうよう
係員に言ってきてくれないか?
それが済んだら案内所から時計回りにマデイラを探せ。
俺は反対周りで探す。
風船を持っている家族をよく見るんだ。良いな?」
「うん!分かった!」
秀吉が案内所の方へ向かうのを見届けると
秀一も動き出す。
(マデイラが一人でアトラクションへ乗る可能性はほぼ無い…
どこかその辺をうろうろしているだけか…?)
「マデイラ!どこだ!…マデイラ!」
声を出し続けるが、反応はない。
そうこうしているうちに秀吉と鉢合わせた。
「兄さん!マデイラちゃんいた!?」
「いや…秀吉もか」
「うん…どこ行っちゃったんだろう…」
園内はさして広くない。
誰かに連れていかれたのか?隠れる場所と言ったら後は…