• テキストサイズ

【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第8章 メモリー




「いや、俺はいい…ここで待っているから

2人で行ってこい」



はーいと元気よく返事をすると

2人は手を繋いで駆け出して行った。


弟が子どもらしくはしゃぐ姿を見るのも

たまには良いものだ…そう思いながら

秀一は携帯電話を取り出し、電話をかけた。




「…もしもし、母さん?

マデイラのことなんだが…」
















黒を基調としたノスタルジックな純喫茶に入ったのは

ちょうどお昼の12時を回ったころだった。



「姉さんどう?こういうところ、雰囲気があって良いでしょ?」


「そうね、イギリスのカフェとは違った趣向で」



テーブル席が3つと、カウンター席が4つしかなく、

老夫婦が営むそこには日本の歴史さえ感じられた。



「エレーナ、どうなの研究の方は?」


「順調よ…お金も、研究施設も何も心配しなくていいの。

今までの努力は無駄じゃなかったのね…」




前向きな言葉とは裏腹に

妹の顔に影が落ちるのが気になる。




/ 272ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp