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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第8章 メモリー




近くにあったベンチに座るが

マデイラは秀一に抱き着いたまま

離れようとはしない。



「マデイラちゃん、どうしたの?

ほら、こうやって手首にまくだけだよ」


秀吉がマデイラの顔を覗き込み、先ほどつけられた

リストバンドを見せる。




「…痛くしない?」




弱弱しく放たれた言葉に

秀一は違和感を覚えた。



「ぜーんぜん痛くないよ!ね、兄さん」


「…あ、あぁ」



おずおずとマデイラは細い右腕を秀吉の方へ伸ばす。



「「……!」」




五分丈の袖から見えたマデイラの白い肌には

小さな青いアザがいくつも見える。



「…マデイラ、このアザはなんだ」


「……」


「わっ痛そう。これが嫌だったのかな?」



秀吉は秀一から受け取ったリストバンドを

マデイラの腕に素早くつけた。



「ほら、痛くなかったでしょ?」


「うん…」



秀吉に頭を撫でられると

安心したような声を漏らす。




「マデイラ、こっちを向け…」



小さな背中をトントン、と優しく触れると

秀一の首に絡みついていた腕が緩み、

膝の上に大人しく座った。


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