【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第8章 メモリー
「どういうことだ、秀吉…
マデイラのことを知っているのか」
『どういうことも何も…
兄さんと僕とマデイラちゃんと昔3人で一緒に遊んだこと
忘れちゃったの??』
弟は信じられない…というような声を出すが
全く覚えていない。
たしかに今のそよ香を見て時々既視感のような
そんなものを感じたことはあったが…
「秀吉、時間大丈夫か。その話、詳しく聞かせろ…」
『良いけど…
あれは僕たちが日本にきてすぐの頃だったから、
17年くらい前かな?』
*
*
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5月上旬の大型連休、
兄弟は母親に連れられて浅草にやってきた。
「あっ!メアリー姉さん!こっちよ!」
「エレーナ!久しぶりね!」
数年ぶりに再会した姉妹は両手を握り合って喜んでいる。
「わぁ、秀一君大きくなったわね。
私のこと、覚えてる?
秀吉君はまだ赤ちゃんだったから、覚えてないかな?」
「俺は覚えているよ、エレーナさん…」
「僕も覚えてるよ!抱っこしてくれたこと…」
2人の小さな紳士はエレーナとハグをして
頬に軽くキスをする。
「ところで、エレーナ。その子…」