【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第8章 メモリー
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「…続いてのニュースです。
太閤名人こと羽田秀吉6冠が名人戦に勝利し、
7冠を達成しました。対戦相手は…」
21時の全国ニュースでキャスターが告げた。
「太閤名人ってギャップが可愛いですよね」
そよ香がカップアイスをつつきながら言う。
「…ギャップ?」
隣で本を読んでいた沖矢が顔を上げると
そよ香はテレビに夢中だ。
「太閤名人って、表に出るときは袴を着てキリっと
カッコいい感じですけど、
OFFの日は丸い眼鏡に寝癖がついたまま
ラーメン屋さん行ったりするらしいんですよ。
雑誌の記事でみました」
「ホー、そよ香さんはギャップのある男性が好き…と」
「別に、覚えなくていいですよ」
インタビューに答える羽田名人は
たしかによそ行きの顔をしているな…
と沖矢は思った。
そよ香が食べ終わったアイスのカップと
スプーンをテーブルに置くと
沖矢はそれを持って立ち上がる。
「僕は論文を仕上げなければならないので、
しばらく書斎にこもります。おやすみなさい」
「あ、ありがとうございます。
おやすみなさい…」