【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第8章 メモリー
『降谷さん!降谷さん!!応答してください!!』
無線機から風見の声がする。
2発も銃声の音を聞いて気が気ではないだろう。
「心配、するな…ッ、僕は、生きている…
まだベルモットが…近くに、いる可能性が…
10分後に…迎えを…」
『…死なないでくださいよ!!』
「こんなことで、死んで、たまるか…ッ」
暑くもないのに汗が噴き出してくる。
身体が震えてどこにも力が入らない。
(まずい…出血性ショックだ…意識が…)
風見が来るまでの10分が1時間にも、2時間にも感じた。
薄れゆく意識の中
自分の名前を呼ぶ声だけがかすかに聞こえた。