【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第8章 メモリー
(ベルモットにとっては”こちら”の方が重要ということか…)
「バーボン、答えなさい」
凍てつくような声がこだまする。
「誤解のないよう先に言っておきますが、
内偵調査にターゲットの情報は必要不可欠…
貴女からマデイラのことを教えてもらえなかったので
自分で調べたまでですよ…」
__パンッ!
銃声が耳に届くと同時に
左太ももに突き刺すような鋭い痛みが走り、
バーボンは顔をゆがめた。
「…ッ!!」
じわり、とズボンが濡れていくのを感じる。
「次はあなたの脳みそに穴が開くわよ…」
「…ッは、今日はずいぶんと…余裕がないんですね…
僕が見つけた情報は2つ――…」
1つはマデイラの『DNA情報』
本来人間は46本の染色体をもっており、
44本は常染色体、残りの2本は性別を決める性染色体だ。
しかし、マデイラの『DNA情報』は46本の常染色体を持っているため
普通の人間より2本多いということになる。
これは染色体異常として、受精卵の段階で
自然淘汰されるはずなのだが
何故かこの世に産まれてきてしまった。