• テキストサイズ

【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第8章 メモリー





__パンッ


古びた倉庫内に、乾いた音が響く。

放たれた弾丸は男の頬をかすめ

洋服に赤いシミをいくつか作る。




「バーボン、一体どういうつもり?」


「…ッ!!手荒な歓迎ですね…ベルモット」




錆びた鉄柱に、腕を後ろ手に繋がれ

男は身動きが取れないでいた。

ジャラジャラと、鎖の鈍い音がうるさい。


割れた窓ガラスから西日が差すと、

女の美しいプラチナブロンドの髪を輝かす。




「組織のデータベースをハッキングして…

スパイごっこは楽しかった?

それに、あんなに分かりやすく痕跡を残すなんて…

…!バーボン、まさかわざとやったわね?」



少し遅れて火薬のにおいが鼻につく。



「貴女ならこうして、僕に釘を刺しに来ると

分かっていましたからね…」



はぁ…と女はわざとらしくため息をつくと続ける。



「…アレの存在はトップシークレットよ。

どこまで調べたわけ?」



ベルモットはバーボンに向けた銃口を下ろそうとはしない。

むしろ引き金にもう一度指をかけ直し、

返答次第ではここで始末するつもりのようだ。


ただの脅しではないと、彼女の目を見れば分かる。





/ 272ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp