【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
タバコに火をつけると
そよ香がムスッとした顔で見てきた。
「…すまない、嫌いか?」
「昴さんは薄情者なんかじゃありません」
予想外の返事に赤井はその場で固まる。
「昴さんはとても優しい人ですよ。
いつも私を気にかけてくれていて、
困っていたら必ず助けてくれますし
一緒にいると落ち着くというか…
だ、だから昴さんはお兄さんが思ってるような
そんな人じゃないってことです!」
「……」
火をつけたタバコを吸うことも忘れて
赤井はそよ香を見る。
「な、なんですか?」
「いや、昴のことをそんな風に言うやつを初めてみたんでな…
少々驚いただけだ…」
「…?」
「その言葉、昴がいるときにまた言ってくれないか?」
「なっ何でですか!昴さんには内緒ですよ!」
そよ香は顔を赤くして赤井から目をそらす。
「ホー…」
クスクスといたずらっぽく笑うヒデカズは
昴と兄弟というだけあって
どことなく似ているような気がした。
「お兄さんと昴さん、顔は全然似てないけど
笑った雰囲気とか、瞳がそっくりですね」
「…瞳が?」