【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
「明日、ちゃんと説明してよね」
怒ってはいるが、どこか嬉しさもにじむような声で言うと
助手席のドアを閉める。
赤井の車が見えなくなるまで、
ジョディはその場を離れようとはしなかった。
「まんまと騙されましたね、赤井さんに…」
「そうね…昔から、無茶なことばっかりするんだから…」
夜空に溶けるジョディの声は
どこか苦しそうにも聞こえた。
赤井が工藤邸に戻ると、
コナンと優作がキッチンで軽食を用意して待っていてくれた。
「上手くいって良かったよ」
「ありがとうございます」
優作はねぎらいの言葉をかけると赤井の前にコーヒーを出した。
「本当はゆっくり話を聞きたいんだが…
あいにく向こうでのテレビオファーが殺到していてね。
私はそろそろ戻るよ」
「空港まで送りましょうか」
「いや、結構。もうすぐタクシーが来る頃だからね。
また会おう、緋色の捜査官。君の幸運を祈っているよ。
…コナン君もね」
ふりふりと手を振る有名ミステリー作家は
大きな荷物をもって玄関を出ていった。